「こり」のメカニズムを探る
きっかけは筋肉疲労
ここで、なぜ肩こりが起きるのか、そのメカニズムをみてみましょう。
全身の筋肉は、収縮と伸展を繰り返すことで身体を動かしています。
身体を動かさずにいると、収縮した筋肉はずっと緊張し続け、疲労してしまいます。
たとえば長時間パソコンに向かっているときなどは、ずっと同じ姿勢のまま動かずにいることが多いもの。
そのため、くびや肩周辺の筋肉が緊張状態に陥り、筋肉疲労を起こすわけです
筋肉が疲労すると、筋肉を構成している筋線経という繊維質の組織が膨張し、筋肉の中を走る血管が圧迫されて血流が妨げられます。
本来、筋肉の中ではブドウ糖が燃焼され、エネルギーに変換されますが、血行が悪くなると酸素の供給が不十分になり、ブドウ糖が不完全燃焼を起こします。
この不完全燃焼のブドウ糖が、乳酸などの老廃物質に替わってしまい、筋肉や周辺の末梢神経を刺激するのです。
末梢神経が受けた刺激情報は、脊椎を伝わり大脳に達することで、「痛み」と認識されます。
この痛みに反応することで、周辺の筋肉はますます緊張し、さらに疲労していきます。
これが肩こりのメカニズムです。
乳酸などの老廃物質は、激しいスポーツをした後に起こる筋肉痛も引き起こすものです。
次は、その老廃物質を排出するために必要な血行について説明しましょう。
キーワードは「血行障害」
肩こりのメカニズムをみてみると、「血行障害」がおおいに関わっていることがわかります。
血行障害とは、血流が滞りがちになること。
筋肉の緊張状態に続く、血行障害が発生した部分には、必要な酸素が十分に供給されなくなり、老廃物質が生じます。
そこから生まれた老廃物質は血管を通って排出されますが、血行障害を起こしていると排出されにくくなります。
そのため、筋肉内には老廃物質がどんどん溜まってしまい、ますます肩こりがひどくなるわけです。
肩こりの解消法としてはさまざまな方法が流布していますが、まず血行障害を解消しなければ、根本的な解決にはならないのだと覚えておいてください。
体内を巡る主な血管には、動脈と静脈の2種類があります。
動脈は、心臓から送り出された血液を全身に運ぶための血管で、脈拍がポンプの役割を果たしているため、常に血流が促されています。
一方、静脈は全身を巡った血液を心臓に戻す血管で、動脈と異なり脈を打つことはありません。
血流が促されるのは、周囲の筋肉が収縮・弛緩を繰り返すときです。
つまり、じっとしたまま筋肉を動かさずにいると、静脈が血行障害に陥りやすくなるのです。
これが、肩こりを引き起こす血行障害のメカニズムです。
ですから、まずは肩周辺の筋肉を動かすこと、そしてマッサージをしたり温めたりして、血行を促進することが大切です。
とはいえ、血管は身体中を巡回しているものですから、血行障害は全身の問題でもあるのです。
肩周辺を動かすだけではなく、全身運動を心がけるとよいでしょう。
「肩こりサイクル」はエンドレス
「たがが肩こり」と放っておいたら、どんどんひどくなってしまった − そんな経験はありませんか?
そんな場合は、肩こり特有の悪循環にはまってしまったからと考えられます。
肩こりには、「放っておくとますますひどくなる」という厄介な特徴があるのです。
筋肉の緊張状態が続くと、血行障害が起こり、老廃物質が発生します。
その老廃物質が溜まって神経を刺激する、というのが肩こりのメカニズムです。
このとき、筋肉内は酸素不足になっており、必要なエネルギーを生産できない状態です。
そして、エネルギー不足に陥った筋肉は膨張し、ますます血管を圧迫して…、という悪循環が始まるわけです。
一方、発生した老廃物質は、血流が滞っているため排出されにくく、どんどん筋肉内に溜まってしまいます。
すると、ますます神経が刺激され、さらに肩こりが重くなっていきます。
また、刺激情報が脳に達し、痛みとして認識されると、その情報が神経を伝わって患部を刺激します。
すると、筋肉や血管などがそれに反応し、より一層緊張の度合いを高めてしまいます。
つまり肩こりは、一度発生すると自動的に「痛みのもと」が再生産される仕組みになっているのです。
この「肩こりサイクル」から抜け出すためには、なるべく初期段階で改善することが必要です。
「たがが肩こり」と放置していると、くびや肩、背中の筋肉はガチガチにこり固まり、やがて自力では治せないほど重度の痛みを抱えてしまうかもしれません。
厄介な肩こリサイクルに組み込まれないよう、早期解消を目指しましょう。
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